この度稲垣吾郎、新垣結衣さんのタッグにより、朝井リョウさんの小説『正欲』が、岸善幸さんを監督に迎え、映画化されることが決定しました。
原作小説は、2009年『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞、2013年『何者』では直木賞を受賞した朝井リョウさんが、作家生活10周年で書き上げた渾身の一作。2021年3月に発売されるやいなやその内容が波紋を呼び、第34回柴田錬三郎賞を受賞した話題作です。自身が「小説家としても一人の人間としても、明らかに大きなターニングポイントとなる作品です」と語る通り、共感を呼ぶ傑作か、目を背けたくなる問題作か・・・「この衝撃は読んでみないとわからない」「もう読む前の自分には戻れない」と、続々と読者が増え続けています。
「明日、死なないこと」―この世界がいつの間にか設定している生き方のゴール。
家庭環境、性的指向、容姿――様々に異なった”選べない”背景を持つ人たちを同じ地平で描写しながら、人が生きていくための推進力になるのは何なのかというテーマを炙り出していく衝撃的なストーリーを、ある種のラブストーリーとして映画化するのは、『あゝ、荒野』(2017)、『前科者』(2022)などを経てその手腕にさらに期待が高まる演出家・岸善幸さんと、原作を大胆に再構築しながら監督の演出の可能性を拡げていく脚本家・港岳彦さん。このふたりのタッグにより、生きていくための原動力が、「当たり前」とは違う形である人たちの人生を大胆な演出表現をもって映像として浮かび上がらせ、2023年、日本映画最大の意欲作の誕生を予感させます。
稲垣吾郎×新垣結衣さん、奇跡のタッグがセンセーショナルで挑戦的な人物たちに迫る
横浜検察庁に務める検察官であり、自分の力でマイホームを持ち、妻と子を養う寺井啓喜（てらい・ひろき）役に、公開を控える『窓辺にて』（22/今泉力哉監督）など精力的に映画出演を務めている稲垣吾郎が挑みます。そして、広島のショッピングモールで契約社員として働く桐生夏月（きりゅう・なつき）役に今や国民的人気を誇る新垣結衣さん。特殊性癖を持つことを隠して生きる夏月という難役に挑みます。
小学校不登校の息子が世間から断絶されてしまう可能性を恐れる寺井と、自ら世間との断絶を望む夏月が、いつ、どこで、どのように交わっていくのでしょうか・・・。生きることと死ぬことが目の前に並んでいるとき、生きることを選ぶきっかけになり得るものをひとつでも多く見つけ出したい――映画に込める想いをどう昇華させていくのかが見どころになっています。映画は現在絶賛撮影中で、10月下旬にクランクアップ を予定しています。
「生き延びるために、手を組みませんか。」
あってはならない感情なんて、この世にない。
それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――
人間が本当の意味で「生きていく」とはどういうことなのか。
尊厳はどこにあるのか。
その大きくつかみようのない絶望と希望の狭間に挑みます。
【コメント】
稲垣吾郎
脚本を読み終えた時、この作品に関われる事を嬉しく思いました。難しい題材にチャレンジする、監督、スタッフの皆様と共に丁寧に演じていきたいと思います。
【作品概要】
原作：朝井リョウ『正欲』（新潮社刊）
監督：岸善幸 脚本：港岳彦（敬称略）
制作：テレビマンユニオン 製作幹事：murmur 配給：ビターズ・エンド