2022.10.11
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稲垣吾郎主演映画『窓辺にて』完成報告イベント開催。稲垣、共演の中村ゆりさん、玉城ティナさん、今泉監督からたっぷりと映画の魅力が語られました。

左から今泉監督、中村ゆりさん、稲垣吾郎、玉城ティナさん

稲垣吾郎主演、今泉力哉監督による完全オリジナル作品『窓辺にて』(11月4日(金)公開)の完成報告イベントが、11日実施されました。イベントでは、映画が完成した喜びや稲垣と今泉監督がいかにして出会い、映画を作ることになったのかなど撮影秘話がたっぷりと参加した、中村ゆりさん、玉城ティナさん、今泉監督の皆さんから語られました。

今年の東京国際映画祭(以下、TIFF)コンペティション部門への出品が決定している本作。実は、稲垣と今泉監督の出会いは2018年のTIFFでした。稲垣主演の『半世界』と今泉監督作品の『愛がなんだ』がともにコンペティション部門に出品されたときに、挨拶を交わしたのだそう。
「俳優として初めてレッドカーペットに立ちました。それまでは、メンバーが出演する映画を観たり、取材をする立場での参加だったので、すごく印象に残っています」と当時を振り返った稲垣。稲垣との思い出をきかれた今泉監督は、雑誌での対談に触れ「リモートでの対談でしたが、きちんとお話しするのはそのときが初めて。途中で電波が悪くなってしまい、僕が(電波がよく届く場所を探しながら)公園まで移動したりして(笑)。10分以上お待たせしてしまったのですが、ずっと笑顔で待っていてくださいました」と明かすと、稲垣が「監督の後ろに公園の噴水や遊ぶ子どもたちの姿が映っていましたよね」とうれしそうに話しました。対談では稲垣から「僕を主演にするならどんな映画にしますか?」と質問が飛んだそうですが、実はその時すでに今泉監督は準備を進めていた段階だったそう。そのとき今泉監督は「準備中です!とは言えないので、なんかちょっとズレた対談をした気がします」とはにかみました。

主人公・市川は喜怒哀楽が明確に出るタイプではなく、理解できない人にはまったく理解されない。さらに恋愛感情が乏しいというキャラクター。今泉監督は説明も演じるのも難しいと思いましたが、衣装合わせで稲垣から「『知ってる感情です。わかりますよ』と言っていただき、すごく安心したことを覚えています」と安堵したことを明かしました。役と稲垣のイメージとのギャップがあまりないという声が多い本作。この反響に稲垣は「今泉監督がある程度僕をイメージして(脚本を)書かれたと思います。『なぜ、こんなにも僕のことをわかっているんだろう』って思うくらいスピリチュアルな体験でした(笑)。僕のパブリックイメージとは違う、(本当の僕の)心の内側まで分かっている気がしました」と解説。今泉監督は「(本当の稲垣さんのことは)分かっていないと思います」と恐縮しながら、「多分、分かっていないけれど、写真集やこれまでのインタビューなどを拝見して、稲垣さんはこういう人と想像してみました」とキャラクターの誕生秘話を明かしました。この話を聞いた稲垣は「自分はこういうイメージでしょ?と自分で勝手に決めつけているところがあって。でも役には素の自分って溢れてしまうんだなと思いました。溢れてくる部分を上手に今泉監督が汲み取ってくれた気がします。真に迫ったというのかな。多分、今泉監督は僕のことが好きなんだと思います」と今泉監督を分析していました。

稲垣演じる市川の妻、紗衣を演じた中村さんは稲垣の印象について「ほとんど話す機会はないままクランクインしたのですが、対峙した時に『こんなにも心でお芝居してくださるんだ』と感じました。妻としても私自身としても同じような感覚になり、いろいろな感情を湧き上がらせていただいた印象があります。本来、自分が台本で気づかなければいけないのですが(笑)、稲垣さんと(芝居を)やってから気づく感情が多かったです。とても新鮮な体験でした」とうれしそうに語りました。中村さんのこのコメントに「一緒の撮影は3日間。だけど演じるのは長年連れ添っている夫婦。そういうことをするのが僕たちの仕事のおもしろいところです」と稲垣はニッコリ語りました。
この日のイベントでは今泉監督の「長回し」が何度も話題に。中村さんはクライマックスのシーンの撮影を振り返り「現場では『長くないですか?できません!!』とブーブーでしたが(笑)、出来上がったものを観たら『これが今泉監督の狙いだったのか』と納得しました」とコメント。長回しにした理由について今泉監督は「(長回しは)芝居が成り立たなければ無理なのですが、稲垣さんと中村さん、二人の演技を見て決めました」と説明。この言葉に稲垣は「役者としては最高にうれしい言葉です」と満面の笑みを浮かべていました。ただ、ワンカットで撮ることは予告されていなかったので、「いつになったら、カメラの位置が切り替わるんだろう」と稲垣は考えながら芝居をしていたそう。結果、8分のシーンが12分になったことについて今泉監督は「この4分は二人が生み出した感情です」とキッパリ。この言葉にも稲垣は感激した様子でした。
稲垣演じる市川との絡みが多かった高校生作家の留亜を演じた玉城さんは「撮影当時は24歳で。実年齢と離れた高校生役を演じるのは難しいかなと思っていましたが、脚本を読んでいると私自身が10代に感じたことのある、どこか知っている感情が描かれていたので、好き勝手やらせてもらった印象があります。それを稲垣さんが受け止めてくださったのが伝わってきました」とニコニコ。稲垣さんが「楽しかったですよね?こちらも長いシーンが多かったけれど…。俳優にとっては挑戦だし、今泉監督が信じてくれているという感覚がありました」とうれしそうに振り返っていました。

今泉監督特有の印象に残るセリフや言い回しがたくさん登場する本作。稲垣は「映画や文学で見たことのないセリフが登場します。喜怒哀楽だけでは表せないような心の機微が繊細に描かれています」と丁寧に解説。「理解なんてされない方がいいよ」というセリフが印象に残っているそうで「こういう仕事をしていると理解されることはうれしいけれど、同時にプレッシャーにもなるから、そういうところは共感できると思いました」と好きなフレーズを明かしていました。
イベントでは恋愛観に関しての質問が飛ぶ場面も。稲垣は「自然な成り行きに任せるというのが基本。湧き出る感情を拒まない、迷わないことが大事。意外と本能系なのかもしれません。恋愛については無邪気かも。」と考える仕草を見せ、「そろそろ最後の恋を。いや、それも違うな」とぶつぶつ。しばらく考えた後、今泉監督のフォローもあって「毎回最後の恋だと思うけれど、また次の恋がやってくることもある、みたいなことかな」とまとめ会場を沸かせました。
最後の挨拶で稲垣は「いろいろな登場人物がいて、言葉にできないいろいろな感情が溢れている映画です。自分が共感できる感情を汲み上げ、映画からの思いを受け取ってください」と呼びかけイベントを締めくくりました。
11月4日の公開にぜひご期待ください。

©2022「窓辺にて」製作委員会
映画詳細はこちらhttps://www.madobenite.com/

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